ウイスキー初心者の憂鬱(1)オッサンはなぜ突如としてシングルモルトにハマったか(後編)

雑記

(前編)からの続きです。

酒にまったく興味のなかった僕が、どうやってウイスキー、それもスコッチのシングルモルトにハマったか、その経緯を書いています。自分向けの備忘録的な記事ですので悪しからず。

〜 前回までのあらすじ 〜
「日本のウイスキーが世界で人気」という記事を読み、興味を持って入門クラスのウイスキーを飲んでみた僕でしたが、あまり良さがわかりませんでした。

ではもっといいウイスキーを試してみようと思ったものの、国産ウイスキーのいいやつは高い! そして、スコッチならば12年ものなど熟成年数の多い銘柄がレギュラーラインとして少々手ごろに入手できることを知りました。

そのスコッチを試してみようと決めるも、あまりの種類の多さに途方にくれる僕でした。

知識とカタチから入るタイプなもので

これまでウイスキーの知識を基本的にアマゾンレビューのみで得ていましたが、さすがに種類が多すぎて適当な知識では選べないと悟った僕。
次はAmazonのKindle本コーナーへ突撃しました。

「ウイスキー」「入門」で検索です。
これ書いてて思いますが、なんでもアマゾンで解決しようとしすぎですね僕w

まあしかし、「いろいろな銘柄があって違いがわからない」という僕の悩みを解決してくれそうな本が、一応ちゃんと見つかりました。

紹介しておくとこの「厳選ウイスキー&シングルモルト手帖 知ればもっとおいしい!食通の常識」(世界文化社)。

なぜこの本を選んだか?と聞かれたら、Kindle版があったからというのが一番ですが、これを買って正解だったと思ってます。
コラム的にウイスキーの基礎も取り上げつつ、ウイスキーの専門家らしき人たちがいろいろなブランドのおすすめの銘柄を簡単に紹介するというもので、まあ、内容が濃いとは言えませんが、ウイスキーの基礎知識をつける上では非常に役立ってくれました。

ウイスキーというとバーボンのファンも多いですが、この本はスコッチメインで取り上げられていて、それも僕の嗜好とマッチしていました。

世界5大ウイスキー

書籍を読んでわかってきたのは、Amazonを探検している時にはあれほど無尽蔵に選択肢があるように思えたウイスキーが、結構システマティックに分類がなされている、ということです。

まず、その一番外側の大枠として「世界5大ウイスキー」という考え方があります。

最初にこれを知った時僕は結構驚いたんですが、実は、世界中に出回っているウイスキーの産地はほぼ5カ国に限られているそうです。それがすなわち、

・スコットランド
・アイルランド
・アメリカ
・カナダ
・日本

これを称して世界5大ウイスキーと呼ぶそうです。
えっ、本当に5カ国だけなの?
……と思ってしまいますが、考えてみると当然かもしれないですね。

日本酒を作っているのは日本だけで、最近になってアメリカのごく一部で作られているくらいです。いい例かわかりませんが、韓国の伝統的なにごり酒マッコリも、韓国以外で製造しているという話は聞きません。

基本的にはウイスキーもそういう「ローカルなお酒」だということです。
上記の生産地を見ても、日本以外は文化的に連続性のある土地柄ですよね。民族の移動とともに伝播したと言ってよさそうです。そういう意味では日本のウイスキーの隆盛は例外的なんでしょうね。

また、各国のウイスキーの特徴を調べて、「日本のウイスキーは高くなってしまったからスコッチを買ったほうがいい」と言っていたひとたちが、なぜ他の地域でなくスコッチを名指ししたのかもわかりました。ジャパニーズウイスキーはスコッチウイスキーをお手本にして生産が始まり、まだ歴史も浅いために、非常にスコッチウイスキーと性格が似ているんですね。何ならスコットランドのお隣アイルランドのウイスキーよりもスコッチに近いくらい……だそうです。

この辺の情報からも、「趣味として嗜むなら現在の形のウイスキーの起源に近いスコッチウイスキーからかな?」と再認識したりもしました。

ところで余談ですが世界で一番売れているのはインド産のウイスキーだそうです。
ではなぜ、世界5大ウイスキーにインドが入っていないのか?というと、その生産量のほとんどが国内向けで、インド国外には出回らないからなんですね。国内向けでも人口十数億の国ですから、マーケットのでかさは十分以上ということでしょう。将来的に貿易の自由化が進めば、今日本のウイスキーが世界を驚かせているように、インドのウイスキーが世界を席巻する日がくるのかもしれません。

スコッチウイスキーにも色々あるらしい……

さて、世界のウイスキーの中でもやっぱりスコッチ!と自分の中で決めた僕でしたが、そのスコッチも産地によって分類されていることがわかりました。

時代や書物によって異なるようですが、僕の情報源は上記のKindle本がベースですのでそれに合わせて「6つ」の区分を採用します。

すなわち、

・アイラ島
・アイランズ(島嶼部)
・キャンベルタウン
・スペイサイド
・ローランド
・ハイランド

これらの産地によって、それぞれかなり性格が異なるのだとか。
ハイランド、アイランズというのはかなり広域を指す言葉で、酒質の傾向も様々なようですが、多様性があるというのはいいことです。
少なくとも、コレクター気質の僕には非常に魅力的に映ります。

このなかで「アイラ島」のシングルモルトはかなり個性的だという情報も入っていましたが、これ以上は飲んでみないことにはなんとも……というところ。

知識を仕入れたのはいいですが、本のおかげでさらに選択肢が増え、amazonの海からは結局選べないという事態に陥ってしまいました。

スーパーに置いてあるのを買った

それで僕がとった行動は「近所のスーパーに行く」というものでした。

それなりに大きなスーパーなのでスコッチのシングルモルトもあるだろう。置いてあるとしたらそれは結構メジャーな銘柄だろうから、そこをベースにいろいろ飲んでいこう。
そんなざっくりした思い付きでしたが、今思うとわりと妥当でしたね。

正直、そのスーパーのスコッチ・シングルモルトのラインナップは充実しているとは言えないものでした。

が、3銘柄だけハーフの350mlボトルが置いてありました。
それが下の写真の3本。その日にってわけにはいきませんでしたが、数日のうちにこの三本を買い求めました。

左から「ラフロイグ セレクト」「グレンフィディック 12年」「マッカラン ダブルカスク12年」ですね。

産地別のカテゴリーでいうと、

ラフロイグ→アイラ島
グレンフィディック&マッカラン→スペイサイド

という分類になりますね。

グレンフィディック12年を試す

まず飲んでみたのは「グレンフィディック12年」。
初心者向きという評価が多く、飲みやすいと評判だったためです。

ちなみにはっきり言って、こいつのビンを開栓した瞬間からスコッチに、ウイスキーに心を奪われていたと言って過言ではありません。

まず香りに驚きました。
国産ウイスキーや安価なバーボンには感じなかったフルーティーさ。柑橘系と表現する人も多いようですが、僕の印象は「白ワインに近い」でした。適度な甘さと酸味を予感させる爽やかなアロマ。それをクンクン嗅ぐんですけど、全然アルコールが鼻にツンと来ないんです。

それを口に含んでみてさらにびっくり。アルコールの刺激が想像をはるかに下回りました。40度ありますからもちろんカーッとなるんですけど、トゲトゲしさがない。これがいわゆる熟成した酒の特徴で「若くない」ということなんでしょう。

それに加え、アロマから想像していた白ワインの軽さとはちがい、ほんの少しの苦味と若干のバニラ香、和菓子屋に売ってるネチャネチャしたゼリー菓子みたいな濃厚な甘さ(通はドライフルーツとでも表現するのでしょうか)が奥から出てきます。そして舌に残るピリピリした刺激。余韻は木香と白ワイン、バニラという感じ。

まあ、バニラっぽい香りというのは樽から移ったものなんでしょう。古い針葉樹の木材なんかは似たような甘い匂いを発しますね。我が家の柱も同じような匂いがします。

とまあ、自分でも驚いたんですけど、上に書いたような分析が、「テイスティングしてる先輩たちの真似をしよう」とか思ったわけでもないのに勝手に頭の中で展開されたんですよね。

もちろん本を読んで語彙が身についていたということはあると思います。でもそれくらい印象的だったし竹鶴との違いがはっきりわかった。「同じウイスキーでもこんなに違うのか……」という素直な驚きがありました。

ラフロイグ セレクトを試す

そして次に試してみたのが、スモーキー、ピーティー、ヨード香、潮、人によっては薬臭い、正露丸みたい、と大変クセが強いと言われる「ラフロイグ」。

スーパーに売っていたのはラフロイグのラインナップの中でも「セレクト」というもので、スタンダードな「10年」 より若干大衆向けに仕上げてあるようですが、正直、こちらは開栓と同時に「うわっ」となりました。

まず煙たい。燻製ですね。
そして薬臭い。正露丸という表現もうなづけるクセの強さ。
アルコールがツンと感じないのは、クセが強すぎるゆえなのかどうなのか。

そして口に含むと若干とろりとしたオイリーさがあり、しっかりとした甘さと潮の影響と言われる塩辛さが少し。スモーキーさは続き、喉にピリピリくるスパイシーさがあります

余韻は甘さはスッと抜けて残るのが煙、ほんの少しの柑橘系、最後には青っぽさ、海藻でしょうか。
強烈な酒なのに後味がすっきりしているのが不思議でした。

経験不足ゆえ表現しきれていない要素が多くもどかしいですが、何れにしてもそうとうクセの強い酒であることは確か。竹鶴はもちろん、グレンフィディックとも全然違う味わいと香りです。

このラフロイグを試して、「ウイスキーの多様性」というのを痛いほど認識しました。この時点で「じゃあ次は!?マッカランはどんなの!?」と気がはやっていましたので、すでにスコッチにはまり込んでいたと言えるでしょう。

マッカラン ダブルカスク12年を試す

マッカランについては情報不足なんですが、どこにいっても「ウイスキーのロールスロイス」という紹介のされ方をしています。つまり昔は高級酒扱いだったようです。でも今は比較的大衆的な価格(といっても高いけど)で流通しており、ある程度大量生産体制になっているのでしょう。

ただそれはそれとして、この時の僕は味の違いが気になって仕方ありませんでした。早速このマッカラン ダブルカスク12年も試してみることにしました。

カテゴリーとしてはグレンフィディックと同じ「スペイサイド」のウイスキーですが、印象は結構違いました。

香りは柑橘系とも白ワインとも違うフルーティーさ、洋菓子のような甘さ。
ちなみに、公式サイトを見ると「クリーミーなバタースコッチ・アップルキャンディー・バニラカスタード」と書いてありますが、そんな表現ができるようになるにはまだまだ経験が足りないですね。

気を取り直して口に含むと、オイリーさはなくさらりとした舌触り。濃厚で複雑な甘さがあるんですけど樽の香り、ウッディさを相当強く感じました。酸味も少し、でもそれ以上に渋みも感じます。舌が痺れるようなスパイシーさ。

余韻は甘さと酸味が口に入れた瞬間と同じような割合で長く続きます。そして、なんかわからないけどすごく高級そうな香りが最初から最後までずっとあります(笑)。経験不足でわかりませんが、おそらくこれが「いい樽の香り」なのかなと思っています。

完全にハマった

3銘柄のスコッチを試してみて、僕は完全にスコッチの虜になりました。

グレンフィディックで長期熟成の力を知り、

ラフロイグでスコッチの多様さに思いを馳せ

マッカランの奥深さに自分の知識不足、経験不足を思い知り……

「もっといろいろ試してみたい! わかるようになりたい!」

という思いがふつふつと沸き起こってきました。

……よし、じゃあ次はどれを試そうか……。
と、衝動的にまたAmazonを開く僕でしたが、米粒ほどの理性が銀行の残高を思い出させ、そっとブラウザを閉じたのでした。

とまあ、特にオチもありませんが、こんな風にしてスコッチの世界に足を踏み入れた僕です。あんまり人のためにならない自己満足記事で恐縮ですが、たまにはいいでしょう。

僕がこの先もウイスキーを飲み続けたとして、数年後にこの記事を読み直し「ちんぷんかんぷんな事書いてるなー」と恥ずかしくなるかもしれません。でもそういうのも楽しいじゃないですか。

それではまた。

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