八丈島ゆるポタ旅行【後編】 飛行機輪行&船輪行でいく一人旅

この記事は【前編】からの続きです。

目次

2日目スタート!

さて、船が欠航になり急遽飛行機輪行でやってきた八丈島。
一日目は強風でゆるポタに予定を切り替えてしまいましたが、二日目の朝は幾分風も落ち着き雲も少なめ。八丈富士登山は諦めなくて良さそうです。

朝の7時にロードバイクで宿を出発。
このまま、八丈富士の中腹にある登山口までヒルクライムをキメる予定です。走行距離は数キロですが、平均斜度10%ということで、簡単な道のりではなさそうです(とはいえこの段階では「登りきれる」と信じて疑っていませんでした。しかし……)。

ヒルクライム開始

山の麓までやってきました。右手に見える鳥居が、ここから先は山の領域であることを示しているようです。
やる気満々で登り始めた僕でしたが、なんか……。

うん……。

ペダルが進まん。
考えてみれば、僕は通勤途中の登り坂を経ち漕ぎでえーい!とダッシュで乗り切るのは日常茶飯事ですが、本格的なヒルクライムなんて未経験ですし、長い距離「登り続ける」という行為は初体験です。甘く考えていましたが、これが思った以上に大変でした。

白状します。登り全行程の半分以上、体感的には8割くらいは押し歩きで登ってしまいました。

しかし急坂を自転車押して歩くわけですから、それも決して楽ではない。途中で眼下に港の方の町が見えたときには、ご褒美をもらったような気分でした。
登山口の近くまで登っていくと、八丈島空港を見下ろせるちょっとした展望ポイントがあります。純粋にヒルクライム目的だったら、ここがゴール地点になるんでしょうな。

僕の場合はこの先の、登山口のあたりの高度をぐるっと一周している「鉢巻道路」と呼ばれる道に入り、登山口へ。

いざ登山開始!

さっきの展望スポットの時点で「いやー、登ってきたな〜」という感じだったのですが、これから登山が始まるんですよ? 信じられます?

八丈富士の登山道はコンクリでしっかりと階段が整備されています。ですので登山というより、ひたすら急な階段を登るという感じです。
登りはじめの段階で疲労がたまり始めている足をなんとか動かしながら、木々のトンネルの中を登っていきます。なにか書いてあるな〜と思って読んだら「あと半分ガンバレ」って……まだ半分あるんかい!ってなりますね。
たまに垣間見える太平洋が爽やかに疲れを癒やしてくれます。

ガンバレ

全1280段踏破、そして広がる雄大な火口の風景

登山道を登り切ると、目の前に広がる壮大な風景。八丈島が火山島であるという事実を再認識させられる、緑に覆われた火口を見渡すことができます。正直、ここまで来るだけでもかなり満足度が高いと思います。

しかし今回の目的はあくまで「お鉢巡り」。この火口の周りをぐるりと時計回りに一周していきます。
この日は天気には恵まれましたが、やはり山頂付近ですから風は強いです。火口の縁を歩きますので、万が一にも火口側へ転落などしないように細心の注意を払って進んでいきます。

少し行くと山頂の石碑が出迎えてくれます。

トレッキングルートとしての難易度は高くないと思いますが、お鉢巡りのルートは序盤は岩がちな地表を覆う低木の合間を進むやや歩きにくいポイントもあります。かと思えば溶岩のごろごろ転がる砂っぽい斜面や、気を抜くと脚がはまり込んでしまいそうな穴が空いていたり、お散歩気分だと怪我しそうですね。

火口周りを半周ほどすると、八丈小島の姿が見えてきます。一日目に夕日を見に行った海岸からも見えていましたが、上から見下ろすとまた違ったスケール感を感じます。

八丈小島を横目に通り過ぎるとゴールはもうすぐです。最終盤になるにつれ、火口の反対側を見ると「おー、さっき歩いてた場所があんな遠くに見える」ってなるのがまた、達成感を感じられてよかったですね。

お鉢巡り達成!

火口を一周して、無事ゴール!
小一時間のトレッキングでしたが、絶景しかない時間を楽しんだおかげで、達成感よりも名残惜しさが勝つ、そんな「お鉢巡り」でした。
そして、ここからの下りがまた、結構ハードなんですよね。ここまでロープウェイが通ってたら何回でもお鉢巡りしたいなって思いましたが、環境負荷を考えるとそんなことにはならないでしょうし、ならないで欲しい。

ふれあい牧場に寄り道

登山口まで戻ってきた頃には、冗談抜きで脚がガクガク震えてました。登山も、お鉢巡りも、下山も、それぞれ別の筋肉を使って満遍なく両足の全ての筋肉が疲れ切った感じ……。
休息が必要だと本能的に悟り、ここから近くにある観光牧場「ふれあい牧場」に立ち寄ることにしました。

ここがまた、フォトジェニックな絶景ポイント!
季節によっては搾りたてのミルクとかソフトクリームなんかを販売しているようですが、この時期は残念ながら休業中。厳しくも雄大な自然の中でのんびりと寛ぐ牛さんたちに英気をもらい、麓までのダウンヒルに臨みます。

あんなに苦労して登ったのに
下りはあっという間なんですよね。

スーパーが定休日だったのでおしゃれバーガーランチ

爽快なダウンヒルを楽しみながら「下山したらまたスーパーの島寿司いっちゃおうかな♪ 昨日とは違うネタのやつ!」ってワクワクしてたんですが、なんと八丈ストアはこの日、定休日でした……。

あとになって、他にもスーパーや昼間に食料調達できるお店が近場にあることを知ったのですが、この時点では結構遠くまで走らないと他の商店がない!と思い込んでおりまして。この腹ペコをどうしてくれよう……と途方に暮れていたのですが、しょぼくれて宿に戻ると、宿のすぐ近くにやたらオシャンティなバーガーショップが営業しておりました。この私がこんな小洒落たリア充ショップに……といういらぬ葛藤も空腹の前には無力。

レモン風味のテリヤキバーガー。

大変美味しゅうございました。

八丈植物公園に「八丈島のキョン」を見に行く

今日の目的だった八丈富士のお鉢巡りを終え、腹ごしらえも済ませ。すでにやりきった感があるのですが、時間に余裕があるのでもう一つ予定を消化しておこうということで、八丈植物公園へ向かいました。ここにいるのがキョンという動物。

大昔のギャグ漫画の「八丈島のきょん!」というフレーズからキョンというと八丈島のイメージが付いているらしいんですが、キョンはもともと日本にはいなかった外来種ですし、動物園から逃げ出して繁殖してるのはむしろ千葉県なのだとか。そしてもはや、その「がきデカ」とかいう漫画もおじいちゃん世代しか知らないと思う。しかし八丈島の観光ガイドにはいまだに八丈島のキョンが名物のように書かれているので、その心意気に敬意を評して見に行きます。

ただの小さい鹿ですが、かわいい。中国や台湾では高級食材らしい。

これは完全に余談ですが、アラフォー世代の我々からするとキョンと言ったらアニメ/ライトノベルの「涼宮ハルヒ」シリーズなんですよね。主人公であるキョンの本名が公開されておらず未だに謎なんですが、個人的に下の名前が「慧」か「貴音」ではないかと考えています(なんの話?)。

自転車を収納し、爆睡

午前中の無理が祟ったのか、宿に戻ったら急激な眠気に襲われました。
最後の気力を振り絞って自転車を折りたたみ、荷物をまとめてお布団にバタンキュー。

ちなみに、どうして自転車を畳んでしまっているかと言うと、この宿が底土港の目の前に位置しているから。明日の朝、船の時間ギリギリ15分前に目が覚めても、そのまま輪行袋を担いでダッシュすれば乗船できる絶好の立地なんですよね。

思えば一日目は船の欠航と強風で散々でしたが、二日目はかなり充実していました。
あとは翌朝帰るだけなんですが、のんびり10時間の海の旅ですから、それもまたワクワクです。特等室には乗れませんでしたが…(まだ未練ある)。

とにかくそんな満足感に包まれながらまだ夕方だってのに就寝した僕でした。

……そして、それが結果的には功を奏したのでした。

緊急事態発生! 出向する港を間違えてた!?

翌朝、なぜか6時という信じられないほど早い時間に目が覚めました。いや、早く寝すぎたから早く起きただけでした。
しかし船の出港時間ギリギリまで寝ていなくて本当に良かった。

だって……。
なんとなーく不安になって「帰りの船の予約、ちゃんと取れてるよな?」と東海汽船のWEBサイトを開いたんです。それで驚愕しました。予約は取れてた。しかし、出港地が僕の記憶と違ってるんです。

僕は「底土港」出発だと思いこんでいました。というか、そのはず。だからこそ底土港の真ん前の宿を取ったわけですからね。
しかし、サイトには確かに「八重根港」と書かれている。どういう事?

自分の確認が甘かったのか、何か他の問題があったのか。とにかく帰りの船は八重根港から出発するのは間違いなさそうです。

ちなみに2つの港の位置関係は……

反対側やんけ!!

これは落ち着いていられません。
昨日、安心して分解した自転車を慌てて組み立て直し、八重根港に向かいます。

……とは言え、出港時刻は10時。不測の事態に備えて早く出発しましたが、正直、まだあわあわわ慌てるような時間ではない。

丸石垣の道を走る

ということで、予定外ではありますが大里の玉石垣を見に行くことにしました。ちょっと遠回りして大里まで行っても、そこから八重根港はすぐそこですから、この寄り道のせいで船に乗り遅れたりはしないでしょう。

この玉石垣は意思を丸く加工して積み上げている……わけではなくて、火山由来の丸石らしいです。火口から吹き飛んだ溶岩が海に落ちて、丸い形のまま凝固したんでしょうか。またスケールのでかい話ですね。
なお石垣を作るのに使い尽くしたせいか、今ではあまり玉石は落ちてないそうです。そりゃそうか。

八重根港に到着

結果的には寄り道したのにもかかわらず出港時間よりもだいぶ早く港に到着。まだ待合室も空いてない。
することもなくぼんやり船を待っていると、東海汽船から電話が。
波の状況を鑑み、出港地が「底土港」から「八重根港」に変更になったという内容でした。
なるほど、僕の勘違いではなかったようです。
連絡くださった女性のオペレーターの方が「大丈夫でしょうか?」って言うので「大丈夫です、もう八重根港に着いてます!」と答えたら笑ってましたが……早起きしてなかったら笑えなかったですね。

いざ、さるびあ丸に乗船!

最後まで船には振り回されっぱなしでしたが、念願の大型客船に乗船です。

デッキから見える八丈島に後ろ髪を引かれます。これを自転車と徒歩で登ってきたって、結構すごいんじゃないでしょうか?

さらば八丈島! と、八丈小島!

この後、御蔵島と三宅島に寄港します。

御蔵島

三宅島

ちなみに、御蔵島入港とともに船内の食堂がオープン。
前日のスーパー定休日の影響で食料の買い出しが十分にできておらず、この日の朝食も缶コーヒーのみだった僕は、まっさきに食堂に向かいました。
食券を買って出てきたのは

大エビフライカレー!

腹ペコに背を押されて奮発してしまいました。写真を撮る前にフォークを差してしまっているあたりからも、僕の腹ペコ具合が伝わるのではないでしょうか。
大変美味しゅうございました。

帰りはベッド不要という判断でしたので、シート席。混雑してたらちょっと窮屈感ある配置ですが、時期的なものもあるのか、乗客がは離れたところにひとりいるだけでリクライニングも倒し放題、脚も伸ばし放題でなかなか快適でした。
しかしせっかくの船旅、座席にいるだけじゃ勿体ない。大海原を眺められるベンチでぼけ〜っと過ごします。
途中からは空もよく晴れてくれて、オーシャンブルーの中を走り抜ける素晴らしい航海となりました。

やがて日も落ち、東京の灯が見えてきます。

レインボーブリッジをくぐって東京港に入港。

東京の街の明かりを「懐かしい」と思えたのは、なかなか珍しい体験だったなと思います(地方出身者なので)。

竹芝埠頭から自走で帰宅!

ホームに帰ってきたぞ!
という感慨もそこそこに、自転車を組み立て、1.5時間走って練馬まで帰ります。まだ全然ホームじゃなかったですね。

まとめ:トラブルはあったけど、八丈島自転車旅行は最高だった!

入念に立てていた計画通りには行きませんでしたが、東京都の離島・八丈島への自転車旅行は島旅を満喫できる素晴らしいところでした。
機会があれば、次こそは是非船の「特等席」に乗って再訪し、八丈島一周もなんとか実現したいと思います!

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