ウイスキー初心者の憂鬱(1)オッサンはなぜ突如としてシングルモルトにハマったか(前編)

雑記

僕はいわゆる「酒飲み」ではありません。

自宅で酒を飲むという習慣がそもそもありませんでしたし、会社の飲み会で生ビールを3杯も煽ったら「なんか……いつもの感じと違いますね……」と若干引かれるくらい酔っぱらってしまうし、なぜかヒザが痛くなります(痛風ではないようだが、いまだに原因は不明)。4杯以上飲んだ翌日には二日酔いで苦しむこと間違いなし。

大学生時代はたまにサークル仲間とべろべろになるまで飲んで騒ぐのが好きでしたが、あれは酒が好きだったんじゃなくてみんながいたから楽しかったんだな~と、大人になってからはしみじみと思い出します。

今となっては飲むと翌日辛いし、脳の前頭葉がとろけて思考能力が落ちる気がして、正直あまりお酒は好きではないのです。

……が!

そんな僕が最近突如としてウイスキーの魅力に取りつかれてしまいました。

飽きっぽい僕が「ウイスキーとはこれから長い付き合いになるのかも」とか思うくらいですから、これはよっぽどです。この心境の変化は自分でも意外だったので、一応記事として残しておこうと思った次第です。

格好つけて「ウイスキー初心者の憂鬱」なんぞと題してみましたが、要は備忘録ですな。

ウイスキーとの再会

きっかけは何だったんだろう?
「海外で日本のウイスキーが人気!」
みたいな記事をネットで読んだのがはじめだったでしょうか。

「ふーん、そんならちょっと飲んでみるか」

と軽い気持ちで手を出したのが運の尽きというやつですね。財布の中身的に。

その日僕は帰宅すると、例のネット記事にも名前が登場していた「ニッカの「竹鶴 ピュアモルト」をチビチビ舐めました。


この「竹鶴」、新たに買ったんじゃなくて自宅にありました。コンビニとかに置いてある180mlくらいの小瓶ですが。
実はウイスキーに挑戦したのは初めてではなかったんですよね。

その竹鶴もそうですし、ほかにもスコッチではなくてバーボンですが「ジャック・ダニエル」の同じような小瓶もありましたね。

晩酌もしない僕がなぜそんなものを買ったのかは覚えてません。おそらく、「なんとなくカッコいい」とかそういうアホな理由だったに違いないです。

さらに言うと、その小瓶を買った当時はあまりウイスキーの良さがわからなかったんですよね。とにかくアルコールが強いし、独特の風味もあるので。なかなかそれに馴染めなくて、もっぱらコーラで割るというバチ当たりな飲み方をしてました(しかも「普通のコーラのほうが美味い」とか思っていた)。というかそもそも知識がないから「洋酒」くらいにしか思っておらず、ブランデーやシェリー酒との違いも分かっていませんでした。で、すぐに飲まなくなって放置してたのを発掘してきたと。

……まあそれはそれとして、改めて「竹鶴」を味わった僕の感想ですが。

…………。

……………………。

正直、やっぱり良さがわかりませんでした。
香りは確かに芳醇ですが、アルコール感がきつくてたくさんは飲めない。
いや、たくさん飲むものではないとしても、口に含んだときに幸せな気分にならない。

純粋に疑問でした。
これが世界で人気なのか? 賞を取ったりもしているのか?
と。納得がいかなかった。

酒飲みじゃないくせにそんな軽率な評価を……と思われるかもですが、私の上司にえらい酒好きがいまして、例えば彼に勧められた日本酒の「獺祭」は確かに人気になるだけのことはあるなと思ったものですし、名前は忘れましたが「これは飲みやすいぞ」と奢られたナントカというレアな焼酎はたしかに飲みやすくうまいと感じたんです。でも「竹鶴」からはそういう良さが感じ取れなかった。

それで調べてみようと思いました。
そもそも「国産ウイスキーが人気」とか言っても銘柄だってたくさんあるわけですし、自分が無意識のうちに「結構いい酒」だと思い込んでいた「竹鶴」がウイスキー全体のなかでどういう位置にあるのかもよくわからないわけですから。

そんで真っ先に見たのが「竹鶴 ピュアモルト」のAmazonレビューでした。

国産ウイスキーの現状

当然評価は人によって様々でしたが、目についたのは否定派のコメントでした。

「若い」
「トゲトゲしい」
「アルコールむき出し」

そんなフレーズが踊っています。
「まあ確かにそんな感じだな」と、ときに共感を覚えながらも読み進めていくと、なんとなーく事情が読み取れてきました。

僕が飲んだ「竹鶴 ピュアモルト」が、「NA」「ノンエイジ」「ノーエイジ」などと呼ばれているタイプのものであること。

もともとは「竹鶴 12年」などとして、長期熟成を経た原酒のみを混ぜ合わせて販売してたのが、どうやら「マッサン」とかいうNHKの連ドラの影響などもあってウイスキー人気が加熱し、熟成した原酒が足りなくなっているのだということ。

足りないから若い酒を混ぜて「**年」などと銘打たない形でのパッケージを開発したのが僕が飲んだノンエイジの「竹鶴」だったということ。

言ってしまえば、今の「竹鶴」は利益主義に負けた妥協の産物だと。
(もちろん企業努力はしているんでしょうけれども)

さらに言うとウイスキーの価格自体も年々ものすごい勢いで上がっているということ。

「そうなのか、悪い時期にウイスキーに興味持っちゃったな~」

と微妙な気持ちになりながらも、納得していた僕でした。
「ノンエイジの竹鶴 ピュアモルト」があまりよくないと思う人たちのレビューと、僕の感想が一致していたからです。

そして希望が持てると感じました。

なぜなら逆に言えば長期熟成されたウイスキーは「とげとげしくなく」「まろやかで」「アルコール臭くない」のではないか?という希望が湧いてきたわけです。
そう思ったら、もう試してみたくて居ても立っても居られません。

僕はそのままコンビニに向かいました。
もっといいウイスキーをを買おうと思ったのです。

でも残念ながら、良いウイスキー……例えば「竹鶴 ピュアモルト 17年」なんかはコンビニには置いていませんでした。

またすぐにAmazonに舞い戻った僕は、そこでようやく、ハイレベルな国産ウイスキーはすでに高額で入手しにくい代物になっていることを知るのでした。

目の前に広がるスコッチ・シングルモルトの世界

ハイレベルな国産ウイスキーに寄せられたレビューコメントに目を通していくと、またもや一つの主流と思われるスタンスが浮かび上がってきました。すなわち、

「国産ウイスキーのいいやつは確かにうまい」
「けど少し個性が薄いし、何より値上げしすぎ!」
「この値段ならスコッチを買ったほうが良い」

こんな声です。

これにも僕は結構納得のいくものがありました。
というのもこの構図、実はエレキギター業界と重なるものがあります。
完全に自己満足ですがその話を少しだけ。
(興味ない人にはちんぷんかんぷんかもしれませんが許してください)

エレキギターの本場といえばやはりFender、Gibsonを擁するアメリカです。

主として1970年代ごろから日本のメーカーもそれらの有名メーカーのコピー製品などを製作していましたが、そのノウハウと技術が蓄積して、メイド・イン・ジャパンのエレキギターは80~90年代には世界的にも高い水準に達していました。最近では「ジャパンビンテージ」なんていわれてファンがつくほどですね。

しかしここ10年くらい、日本のギターは急速に値上がりを続けています。
例としては、僕が2008年に20万円で買ったギターがコストカットのため仕様が改変された上で2017年現在約30万円になってます。1.5倍ですからすさまじいですよ。

結果として、「日本のギターって、値段はお手頃な割にかなり品質がいい!」という高評価は(少なくとも収入が低迷している日本国内では)必ずしも成り立たなくなっているように感じます。

価格差が小さくなって「だったら本場のフェンダーを買うほうが満足度が高い」という意見の人が増えたように思います。これは上に書いたウイスキーの話と同じ流れですよね。

おまけに、「国産ギターは確かに作りこみは素晴らしいし使いやすいが、音が硬くて個性がない」という評価も昔から根強くて、そこまでウイスキーと共通しています。

と、余談が長くなってしまいましたが、
エレキギター好きの僕は思わず納得してしまう国産ウイスキーの現状。国民性と経済の低迷がこうした状況を招いているのでしょう。というわけで、

「どれどれ、それじゃあ国産じゃなくてスコッチを見てみるか」

と頭を切り替えてまたAmazonの商品ページを渡り歩きました。
すかさず「スコッチ」「シングルモルト」で検索です。

ちなみに「シングルモルト」の意味はよくわかってませんでしたが、なんとなく「通はシングルモルト」という認識だけはありました。この時になって思い出したんですが、以前いた会社の上司もウイスキー好きでシングルモルトシングルモルトと言っていたんですよね。全く酒に興味のなかった当時は「酒乱かこいつ?」としか思えませんでしたが、今思えば趣味人だったのでしょう。

いずれにしても、シングルモルトで検索したこの時の行動は正しかったというか、シングルモルトに注目してなければウイスキーにはハマらなかったかなーと思ってます。

閑話休題。
そうしてAmazonでいろいろなシングルモルトのスコッチを見てみると……うん、確かに。

スコッチ、つまりイギリスはスコットランド産の輸入ウイスキーのくせに、国産だと上位のラインナップになってしまっている「10年モノ」「12年モノ」が、あくまでレギュラーラインとして比較的手ごろに出回っていました。
ウイスキーの味というか品質において熟成年数がモノを言うならば、「高い国産よりもスコッチだ」という意見はもっともに思えます。

「なるほどなるほど、確かにスコッチが良さそうだ。 この中から選んでおけばいいのかな?」

単純にそう思い、Amazonさんにおすすめされるいろいろなスコッチを次から次へと眺めていましたが……すぐにマウスを左クリックする手が止まりました。
いや、ちょっと待てと。

種類多すぎない?

「スコッチ」と言っても本当に多種多様で、「シングルモルト」に限定して探しても何十種類(銘柄)もずらっと並んでいました。

ここから選ぶのには、事前知識が必要だぞ……

目の前に広がる広大すぎるスコッチの世界に、一瞬でそう理解。
勢いだけでポチりたい気持ちを抑えてお酒コーナーを後にしました。

(後編へ続く)

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